育毛のためには、頭皮を柔らかくし、血行をよくしておくことが第一です。

 

 頭頂部の皮膚の下には筋肉がないことから、頭皮は他の皮膚とは異なり、自分の意思では動かすことはできません。また、身体のいちばん上にあることから、ただでさえ血液のめぐりが悪くなりやすい部位です。ですから、突っ張っている部分を緩ゆるめ、マッサージで頭皮を柔らかくし、血行をよくすることが、育毛にとって大切なのです。

 

 シャンプーという言葉は「チャンプー」というヒンディー語が語源です。チャンプーは、「髪を洗う」ではなく、「マッサージをする」という治療的な意味を持っています。語源の通り、マッサージを意識しながら洗うやり方を「マッサージシャンプー」と言います。本章では、この「マッサージシャンプー」のやり方を詳しく説明していきましょう。


 なお本章で紹介するマッサージシャンプーは、育毛に悩む人だけではなく、豊かな髪を保ちたい一般の男性、女性に向けても大変効果があり、髪のアンチ・エイジングにも役立つものなので、ぜひ多くの方にこの方法を取り入れていただくことをお勧めします。

 

 

なるべく抜けないようにさっと軽く洗っている人がいます。結論から言えば、正しくシャンプーをしたことにより抜け毛が増えるということはありません。むしろ抜け毛を防ぐためには、きちんとシャンプーをして頭皮を清潔にして、血行をよくしておくことが大切です。

 

 ただし、習慣的に毎日とか、2日に一度というのではなく、頭皮や汚れの状態に応じて洗う頻度を変えないと、かえって頭皮が荒れたり、髪が傷んだりします。また症状に合わないシャンプー剤を使用していると、抜け毛が増えることもあります。

 

 毛髪にはヘアサイクルがあり、人によって抜け毛の数に若干の違いはありますが、毎日50〜90本程度は抜け落ち、その分が別の毛穴からまた生えてくるということを繰り返しています。

 

 成長を続けている時には、50〜80gの力を加えないと抜けなかったような髪も、休止期の終わり頃になると、風に吹かれただけでも抜け落ちるような状態になり、軽く手で触れたり、シャンプー、ブラッシング、コーミング(櫛くし通し)をしただけでも簡単に抜けてしまいます。

 

 数日に一度しかシャンプーしない場合には、その数日分がまとまって抜けるため、驚くほど大量の抜け毛があってびっくりします。そこで洗わないでいると、次回の洗髪時に抜け毛が多くなるので、ハゲになるのではと心配になり、ますますシャンプーを控えたり、そっと洗うようになってきます。そしてたまにシャンプーをすると、また大量の抜け毛を見ることになってしまう。それが怖いからまたまたシャンプーを控え、ますますそおっと洗うといった「シャンプー恐怖症」の悪循環に陥ってしまう人がいます。

 

 でも「髪の毛は、抜けなければ新しく生えてはこない」のです。

 

正しいシャンプー回数とは

 

 洗わないのがよくないなら、頻繁に洗うほうがよいのかということになります。清潔を心がけるのはよくても、度が過ぎるとこれも問題になります。

 

 脂っぽい気がする。汚れているような気がする。フケが出るのがいやだ。何となく臭うような気がする。とにかく清潔でいたい。……ということで、一日に何度もシャンプーをしたり、大量にシャンプー剤を使う人がいますが、何事も過ぎたるは及ばざるがごとしです。

 

 何度も洗うことで、ターンオーバー(表皮の細胞が、皮膚の奥から表面へ押し出され?がれ落ちるまでの代謝サイクル)を乱したり、頭皮の角質を傷つけ、NMF(天然保湿因子)を失い、必要な皮脂まで失います。また、皮膚の大切な働きであるバリア機能(防御機能)を弱め、そのためかえってフケが多くなったり、マラセチアなどの微生物が繁殖しやすくなったり、皮膚炎が起こりやすくなったりします。それにより、抜け毛を多くしてしまうことがあるのです。さらに洗い過ぎにより、新毛(新生毛)を引き抜いてしまうことも多くなります。

 

 正しいシャンプーの回数は、頭皮の状態や汚れの具合によっても異なりますが、原則として、毎日1回から2日に1回が望まれるところです。

 

 ただし乾燥肌の場合は、もともと脂分が少ないので、頻繁に洗うと脂分の取り過ぎが原因で皮膚炎が発生したり、頭皮がカサカサになってしまうことがあります。

 

 こういう場合は頭皮の状態に応じて2日に1回、あるいは3日に1回の割合で洗うようにします。また二度洗いではなく一度洗いで十分ということもあります。

 

 脂性肌の場合は毎日でよく、髪の成長スピードよりも皮脂の分泌が多いような極度の脂性の場合は、一日に2回洗ってもさしつかえないこともあります。

 

 そしてシャンプー時に最も注意しなければならないのは「すすぎ」です。シャンプー剤が頭皮や髪に残らないように十分にすすぎ流すようにしなければなりません。

 

 すすぎが悪いとフケや痒かゆみの原因になったり、抜け毛が増えることがあります。

 

新生毛を引き抜かないマッサージ

 

 マッサージシャンプーの基本は、両手の指頭(指紋の渦巻きの中心と指先の中間あたり)が、しっかりと頭皮にくっついていることです(イラスト参照)。

 

 男性型脱毛症の場合には、特に薄くなりやすいのは額のラインより上の前頭部、頭頂部の部分(野球帽に隠れる部分)ですが、ここは念入りにマッサージシャンプーをします。

 

 円形脱毛症の場合には、脱毛部分が広がることもあり得ますので、全体をマッサージシャンプーすることが大切です。